2006.07.19
自治会法人東林間自治会 幹部個人損害賠償および慰謝料 請求事件
平成18年(ハ)第312号 損害賠償および慰謝料  請求事件
原 告: 佐伯 雅啓
被 告: 木俣 壽保、 久保田 敬司
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平成18年(ハ)第312号 損害賠償および慰謝料 請求事件
原 告: 佐伯 雅啓
被 告: 木俣 壽保、 久保田 敬司

被告ら準備書面(1)

平成18年7月5日
相模原簡易裁判所 民事B係 御中
被告ら訴訟代理人弁護士 坪井 廣行



第1 原告準備書面(1)に対する反論。

 1  要するに原告は、「自治会員として傍聴する権利を有していた。」「地方自
   治法260条の2で保証されている」(原告準備書面(1)7頁22 行〜3行
   を根拠に、「被告木俣が傍聴を禁止したことから自治会運営の実態を知る
   権利を侵害したこと」(訴状4頁13行〜16行)、被告久保 田も「原告の傍
   聴を妨害し、それによって〜原告に〜精神的苦痛〜を与えた。」(訴状 4頁7
   行〜8行
)と主張するものであり、結局原告に本件総会、区長会への「傍聴す
   る権利」があったか否かに帰着する。

 2  日本国憲法11条(基本的人権の享有)、同14条(法の下の平等)に関す
   る公法と私法の性格論、いわゆる私人間への間接適用説の議論はさておき、原
   告は傍聴の権利の直接の根拠規定としている地方自治法260条の2第8項
   「第1項の認可を受けた地縁による団体は、民主的な運営の下に、自主的に活
   動するものとし、構成員に対し不当な差別的な取扱いをしてはならない。」を
   掲げる。
    しかしながら、戦前自治会は「上意下逹体制」の枠組みの中で軍国主義諸施
   策の遂行手段として利用された反省から、「当該認可を受けた地縁による団体
   を、公共団体その他の行政組織の一部とすることを意味するものと解釈しては
   ならない」(地方自治法260条の2第6項)、「第1項の認可を受けた地縁
   による団体は、民主的な運営の下に、自主的に活動するものとし、構成員に対
   し不当な扱いをしてはならない」(地方自治法260条の2第8項)とする確
   認規定を置き、末端行政組織復活への危惧、その防止を謳っているのである。
    このように地方自治法260条の2第8項は、自治会の末端行政組織化を
   防止し各自治会が自主的な運営がされることが保障され、自治会内部において
   も自主性がより良く保たれるように構成員が不平等にならないよう配慮されて
   いるものである。地方自治法260条の2第8項は、自治会員個人の総会等へ
   の「傍聴の権利」を保障したものではない。

 3  自治会は、前記自主的な活動のため、(1)規約を定め(地方自治法260条の
   2第2項4号)、(2)規約には会議に関する事項(同法260条の2第3項7
   号)が定められる(必要的記載事項)。この会議に関する事項には、総会の種
   類・回数、権限、開催手続、議決手続が定められることになる。

 4  ところで東林間自治会規約上「傍聴の権利」を認めた根拠規定は存在しない。
   傍聴を認める根拠規定が存在しないということは、当然傍聴が認められると言
   うことではなく、総会の開催会場の収容人数、これまでの慣例、役員会の決定
   等諸々の要素があるのであって、一概に決められないのである。
    総会は、毎年4月東林間児童館にて開催され、その構成は議決権を有する前
   区長及び新区長及び本部役員の約160名であり、来賓の方もいることから会
   場である児童館の収容人数の問題があり、仮に傍聴を許すとその人数が多数に
   のぼる場合に会場に入れない傍聴人が出た場合不公平となること、傍聴を許す
   と議決の時に議決権を有するものと傍聴人との混同が生じ議決数確認の議事進
   行上問題が生じること等から慣例上傍聴なしで開催されてきた。

 5  このように、被告には元々総会を傍聴する権利はなく、被告らもこれまでの
   来賓以外の一般会員の傍聴を認めていなかった慣例に従って対応したものであ
   り、何ら非はない。原告の請求は棄却されるべきである。       以上

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